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いまにわれらも

今にわれらも

宮本 百合子

「農民の旗」1933(昭和8)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,681 字 · 4 页

青空文庫

親へ手紙が満足に書けるのは何人もおらん。それだから工場主はホクホクものだ、とそのひとは腹立たしげに云っていた。

婦人雑誌が「子供の育てかた」だのやれ「姙婦の衛生」だのときれいな絵入りで書き立てているのも可笑しいようなものだ。農村には産婆さえありはしない。よしんばあってもたのめはしない。

日本の農村の昨今のひどい状態を話しあっているうちに、来ていたひとは私の机の上に「ソヴェートの友」という絵ばかりの雑誌があるのを見て、それを手にとり、つくづく眺めていたが、

「この写真のようなのかね、まったく」

と云った。どれね、と覗いて見ると、それはソヴェト同盟の集団農場の写真だ。耕地の労働が何台もの立派な機械でされているところ、集団農場の托児所で子供らが嬉しそうに目玉をクリクリさせて食事をしているところ、又クラブで皆が芝居を見ているところなどが写真にとられている。

「写真だもの、嘘はない」

こんどは話がソヴェト同盟の農村の生活について栄えた。

ソヴェト同盟の農民が、昔帝政時代にどんな目に搾られて暮していたかと云うことは、世界でロシアほど無学文盲の率が高かったところがないという一例ではっきり分る。