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こんにちのにほんのぶんかもんだい

今日の日本の文化問題

宮本 百合子

「思想と科学」臨時増刊号、1949(昭和24)年1月発行

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 81,154 字 · 161 页

青空文庫

これらの戯曲は、過去の新劇や軽演劇の影響ももっており、一面に保守的趣味さえ示している。しかし日本製靴労働組合の服部重信の「蒼い底」、「労働者の子」、日立亀有の堀田清美「運転工の息子」、大日本印刷鈴木正男「落日」などは、注目すべき新鮮さをもっていると批評されている。

短歌・俳句 ヨーロッパ文学のジャンルにはない短詩の形式としての日本の短歌および俳句は、伝統的な形式の骨格を保ちながらもその表現の手法やテーマにおいて、より生活的に社会的に変化しつつある。

短歌の古い指導者たちは、ギルド的な自分の流派をしたがえて戦争中軍国主義の短歌をつくった。

新しい短歌グループは、『人民短歌』を機関誌として、短歌の三十一字の形式の中に、今日の市民生活のさまざまの場面と情感をうつし出し始めている。反戦的な短歌が少くない。これは日本の一般人の文学的形式として親しまれてきた短歌のこころが、さまざまの階層の人々の軍服の胸の下に隠されて前線に運ばれ、そこで苦しんだ刻々の心を表現しているからである。兵士たちは、彼等の日記その他貴重な人間記録を焼き捨てさせられた。この事実が小説やルポルタージュに反戦文学の少いことの一つの理由である。