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こんにちのにほんのぶんかもんだい
今日の日本の文化問題
宮本 百合子
「思想と科学」臨時増刊号、1949(昭和24)年1月発行
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 81,154 字 · 161 页
のような兵士の悲惨な運命を描いた作品もあらわれた。
東大の学生が編輯した東大戦歿学生の書簡集『はるかなる山河に』一巻は、文学作品ではないが、深い感銘を読者に与える。日本の軍部は前線から故郷に送る兵士の手紙をすべて検閲した。軍機の秘密に属さないことでも、前線の生活事情と強いられた環境の中での心もちとを率直にあらわした手紙は許可しなかった。明日は戦死しなければならない前夜に、許されて手紙を書くときでさえも、日本の兵士たちは、「滅私奉公します」と書いた。あわれなこの事情の中から、軍隊内でやや階級のよかった若い学徒兵士が、いくらか人間的な心情を家族や友人に伝えることが出来た。『はるかなる山河に』は、昨今流行している第三次世界戦争への挑発に対して、きびしい抗議の一つとして存在している。
外国文学 日本在住の朝鮮人作家が『民主朝鮮』という雑誌をもっている。過去の朝鮮人作家で日本語の書けた人は、舞踊におけるサイ・ショウキのように自分の民族性を売りものにした。しかし日本語で小説を書いている進歩的な朝鮮人作家は、民族と自立と解放の線に立って創作している。
戦争中日本の読者は、外国文学に接する機会を奪われていた。