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こんにちのにほんのぶんかもんだい

今日の日本の文化問題

宮本 百合子

「思想と科学」臨時増刊号、1949(昭和24)年1月発行

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 81,154 字 · 161 页

青空文庫

ところが内申制は競争試験よりも教師と両親と子供たちを腐敗させた。子供たちは先生の気に入るか入らないかということについて神経を働らかせるようになった。親たちは子供の内申書をよい条件で書いて貰おうとして学年のあらたまるごとに先生への心づかいを出来る限り物質的に表現した。ついさき頃の新聞でさえ内申書問題にからんで教員の投書をのせていた。それには日頃乏しい生活をしている教師が学年末になってきたらたばこからウィスキーまで不自由しない状態になってきたことを告げていた。

内申制は高等学校・専門学校入学に際しても中等学校から出された。ここでも、もっと大規模の形であれこれのいきさつが生じている。私立医科大学への入学は入学志望者の学校への寄附額で成績順が決まるといわれている。内申制に関するこれらのスキャンダルは、学制の適宜な運用と、設備の完備と教職員の生活の安定によって根絶されなければならない。私立の幼稚園から高等科までを包括する学校は東京・大阪その他に何箇所かある。これらの学校は子供の才能に従って自由な教育を与えるという主張によって、有資産階級の子供たちを集めている。