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こんにちのにほんのぶんかもんだい

今日の日本の文化問題

宮本 百合子

「思想と科学」臨時増刊号、1949(昭和24)年1月発行

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 81,154 字 · 161 页

青空文庫

学生らしい娯楽のために――スポーツ、映画、音楽、演劇などのためについやし得る金は、五パーセントにすぎない。すべての学生は、最低五〇〇円から一、〇〇〇円の収入を得ようと努力している。このために、学生たちに与えられる職業はどんな種類のものがあるだろうか。家庭教師、通訳、翻訳その他の知的労働の範囲から、生活の必要は学生たちを肉体労働へ追いたてている。東大の職業を求めている学生の三六パーセントは、肉体労働をもいとわぬとしている。女子学生は、知的労働のほかに進駐軍女子寄宿舎の徹夜夜警、洗濯婦等に働くほか、街の小工場の臨時女工として家内的な工業に働いたりしている。学生たちが苦痛とするところは、これらの労働が安定性をもたないことである。半年以上つづく可能性があり、それによって学生の精神的安定も保たれる労働をみつけているものは全体の五〇パーセントにすぎない。

男女学生は、自分たちの労働の必要を安価な労働力として利用しようとする政府の方針に抗議している。たとえば、一九四七年の十月末に、逓信省は東大に一五〇名以上何人でも働きたい学生を要求してきた。四時間労働で三〇円、中央郵便局における事務という名目であった。