轻松读懂日语经典作品
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れいじょうアユ
令嬢アユ
朋友佐野君学业不佳,立志当小说家,却整天悠然自得下围棋、钓鱼。太宰治以幽默笔触描绘这位爱摆文人架子的友人,令人忍俊不禁。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,736 字 · 12 页
温泉宿の一室に於いて、床柱を背負って泰然とおさまり、机の上には原稿用紙をひろげ、もの憂げに煙草のけむりの行末を眺め、長髪を掻き上げて、軽く咳ばらいするところなど、すでに一個の文人墨客の風情がある。けれども、その、むだなポオズにも、すぐ疲れて来る様子で、立ち上って散歩に出かける。宿から釣竿を借りて、渓流の山女釣りを試みる時もある。一匹も釣れた事は無い。実は、そんなにも釣を好きでは無いのである。餌を附けかえるのが、面倒くさくてかなわない。だから、たいてい蚊針を用いる。東京で上等の蚊針を数種買い求め、財布にいれて旅に出るのだ。そんなにも好きで無いのに、なぜ、わざわざ釣針を買い求め旅行先に持参してまで、釣を実行しなければならないのか。なんという事も無い、ただ、ただ、隠君子の心境を味わってみたいこころからである。
ことしの六月、鮎の解禁の日にも、佐野君は原稿用紙やらペンやら、戦争と平和やらを鞄にいれ、財布には、数種の蚊針を秘めて伊豆の或る温泉場へ出かけた。
四五日して、たくさんの鮎を、買って帰京した。柳の葉くらいの鮎を二匹、釣り上げて得意顔で宿に持って帰ったところ、宿の人たちに大いに笑われて、頗るまごついたそうである。