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なかなかしなぬあいつ
仲々死なぬ彼奴
海野 十三
「探偵」駿南社、1931(昭和6)年7月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,216 字 · 18 页
こちらから見ると、喜助は、なにかしきりに耳を傾けて物音を聞いているらしい様子であった。
「…………」
ポトリとも何とも音はしなかった。
喜助はハァと溜息をついた。
しかし、又耳を筒の方へ近づけた。今度は何か微かな物音がきこえるらしい。喜助はゴクリと唾を呑みこんだ。そうしたら、今までしていたと思った物音が、パッタリしなくなった。耳の加減らしい。
喜助は、更にまた大きく、ハァーと溜息をついた。
太い青竹でこしらえた花筒の表面に眼を近づけて丁寧に調べてみた。もう金屬ソジウムが水分を引いて発熱し、竹筒の青い色がすこし変ってきては居ないかと思ったのであるが、別にまだ異状は認められなかった。
喜助はこの爆発装置の設計に、欠点があったのに気がついた。何故もっと大きい滾れ孔を作って置いて、筒の外から、こう耳を近づけると、ポトリポトリと上部洞から、下部洞へ水の落ちてゆく音がよく聞えるように作らなかったのであるか。このように孔が小さくては、爆発の刹那まで水滴の落ちる音はしないかも知れない。それでは唐突に爆発することになる。これは気が気でないぞ、と考えると、背筋が急に冷くなって、身体がガタガタと細く震えだした。