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いずのくににて
伊豆の国にて
平林 初之輔
「探偵趣味 第二年第五号」1926(大正15)年5月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 910 字 · 2 页
汚い話だが、放尿し、脱糞し、浴みしてしかる後に適度な温度の中で(この温度という奴が僕には一番大切だ)、仰向けに寝ころんで(寝ころぶという姿勢は重力に対して最小の努力で抵抗できる)、人事上の心配からすっかりのがれて、必要なだけのポケット・マネーをもって、健康を享楽しながら読書するのは人生至上の楽しみなりと私は言おう。年をとってくるとだいぶ条件がむずかしくなってくる。筆というものは口と同様に重宝なもので、こんな虫のよい条件を並べてだけはみることができるのである。
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今日は天気がよい。屋根瓦の上に堅い砂がちらばっていて、その上をトタン板を引きずる音がする。こんな音をきいたらビスマルクでも神経衰弱になるだろう。ただしこれは天気のよいことと別に関係はないのである。せっかく書いたものだから消さずにおいただけのことだ。