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さくひんのテーマとじんせいのテーマ
作品のテーマと人生のテーマ
宮本 百合子
「早稲田大学新聞」1936(昭和11)年9月30日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,492 字 · 7 页
。後篇の前半を占めるこの部分は地球の到るところで、分散させられながらよりよく生きようとして力をつくしているすべての人間の目に、希望とよろこびの涙を浮ばしめるのである。
観察力のすぐれた読者は、そして皮肉が人生に何事かを決すると思い違いをしている種類の人は、あるいはいうであろう。「新しき塩」が描かれている社会的背景、条件はソヴェトとは全く違う。不良児と浮浪児とはある点で違ったものであるし、まして、ソヴェトの浮浪児、サーニのようなのは、国内戦によって引おこされた一時の社会的な混乱が生んだ、家を失い保護者を失ったために、社会生活の秩序を知らない子供である。社会の秩序を知り得る場所で性格の破綻からそれをあえて破ろうとするアナーキー的本質のものではない。サーニは、ああなるのは当然だ、何故なら、土台社会人としての可能を持って生れているのだから。黒須千太郎や平尾を筆頭とするその教師らのように、社会の排泄物的存在ではないのだから。二つを、並べて問題にするのは幼稚である、と。
私は、二つのタイプがそれぞれに異ったものであるということに反対しようとはしない。同じ浮浪児・指導者にさえ歴史的な二つの段階が示されているからこそ、ここで私どもの関心の的となり得るのである。