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さっかのてちょう

作家の手帖

太宰 治

太宰治在七夕夜里回想起从前在温泉小镇的感动,今年的七夕装饰却格外刺眼,他开始重新探寻这个节日背后的意义。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,838 字 · 12 页

青空文庫

私は今では、完全に民衆の中の一人である。カアキ色のズボンをはいて、開襟シャツ、三鷹の町を産業戦士のむれにまじって、少しも目立つ事もなく歩いている。けれども、やっぱり酒の店などに一歩足を踏み込むと駄目である。産業戦士たちは、焼酎でも何でも平気で飲むが、私は、なるべくならばビイルを飲みたい。産業戦士たちは元気がよい。

「ビイルなんか飲んで上品がっていたって、仕様がないじゃねえか。」と、あきらかに私にあてつけて大声で言っている。私は背中を丸くして、うつむいてビイルを飲んでいる。少しもビイルが、うまくない。幼少の頃の曲馬団のテントの中の、あのわびしさが思い出される。私は君たちの友だとばかり思って生きて来たのに。

友と思っているだけでは、足りないのかも知れない。尊敬しなければならぬのだ。厳粛に、私はそう思った。

その酒の店からの帰り道、井の頭公園の林の中で、私は二、三人の産業戦士に逢った。その中の一人が、すっと私の前に立ちふさがり、火を貸して下さい、と叮嚀な物腰で言った。私は恐縮した。私は自分の吸いかけの煙草を差し出した。私は咄嗟の間に、さまざまの事を考えた。