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さっかのけいけん
作家の経験
宮本 百合子
「展望」1947(昭和22)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,801 字 · 25 页
個性の確立の道程さえも、こんなに複雑に二重の歴史性を貫き、質の変化を予約されなければならないものとなってきているのである。
プロレタリア文学運動のあったころ、同伴者作家という表現があった。プロレタリア文学の画然たる主流に流れ入ることはしないが、ブルジョア文学の領域にありつつ進歩性をもつ作家を、パプツチキ(同伴者)と見た考えかたである。併行して流れるものとして考えられた。今日、日本の文学が、日本の民主主義の現実と、その特徴に立つ独自の機能を会得されようとしているとき、同伴者作家というもののありようは自然別様になるのだろう。並んで流れつつ、それは別な河、という存在ではなくて、澎湃たる日本の新民主主義文学のゆたかにひろい幅と、雄大なその延長とのうちにとけ入り、包括されるはずのものと思う。伸びる芽には必ずきっさきがある。動く車に軸がある。歴史の前進の主軸が、現世紀においては勤労階級であり、したがって、きょうの努力は来るべきプロレタリア文化・文学への展開であることを不自然とすることもいらないのである。新しい民主主義の理解は、文化と文学におけるいらざるセクショナリズムからわたしたちを自由にするであろう。