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しゅんかん
俊寛
倉田 百三
「新小説」1919(大正8)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,192 字 · 88 页
まるで陰府からわき上がりでもしたように。
康頼 (堪えかねたるごとく制するごとき手つきをしつつ)俊寛殿。俊寛殿。
俊寛 (つかれたもののごとく)怨霊だ。怨霊だ。
康頼 成経殿の心臓の止まらないために!
俊寛 わしはこの思いつきにふるえる。信頼の怨霊が成親殿にのりうつったのだ。あの平治の乱に清盛に惨殺された信頼の怨霊が。
成経 あゝ呪われたる父よ。(よろめく)
俊寛 保元の乱に頼長の墓をあばいた信西は、頼長の霊に呪われて平治の乱には信頼に墓をあばかれた。信西の霊は清盛について、信頼を殺させた。今信頼の霊は成親殿にのりうつった。
成経 おゝ神々よ。
俊寛 しかし成親殿は世にもみじめな最後をとげた。父の恨みを相続するものは子でなくてはなるまい。成親殿の怨霊はあなたにつくに相違ない。
成経 あなたは悪とたたかって難にあったわれわれをいたずらに醜い復讐心を満たそうとして失敗したあわれむべき破産者におとしてしまおうとするのか。正義に殉じた父をただの犬死にさせ、あの堪えられないほどな恥な最後にも相当していたような、醜い人間にしてしまおうとするのか。(俊寛につめ寄せる)
康頼 (なだめるように)成親殿は今は平和に眠っていられるとわしは思います。