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しゅんかん

俊寛

倉田 百三

「新小説」1919(大正8)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,192 字 · 88 页

青空文庫

(小鳥の死骸を投げつける)

成経 (康頼に)わしは驚いた。わしはあきれた。

俊寛 (康頼に)わしは無理にわしの獲物だというのではないのだ。

康頼 (悲しげに)あなたがたは獲物の争いまでしだしたのか。

成経 わしがたしかに射落とした鳥を横取りしようとするのだ。わしの矢が立っているのに!

俊寛 わしはわしが射落としたと思ったのだ。たとえわしが射落としたにせよ、わしがこんなに飢えていなかったら、成経殿に譲っただろう。たかが小鳥一羽ぐらい!

成経 わしは他人の惜しみのかかった獲物をほしいとは思わない。(俊寛の前に小鳥をたたきつける)持ってゆけ!

俊寛 持ってゆけ! (弓ではね飛ばす)

成経 わしはいらない。呪われでもしたらたいへんだ。

俊寛 (あざけるごとく)あなたの父ではあるまいし。

成経 (火のごとく怒る)もう一度言ってみよ。墓場に眠っている父を侮辱されるのが子にとってどんなものだか! (弓を取って詰め寄せる)

俊寛 わしを射る気か。(身構えする)

成経 武器を取れ。わしはお前の言葉の価をお前に知らせてやる!

康頼 (成経を抱きとめる)成経殿。軽はずみをしてあとで悔いないために! あなたは敵をほうるようにして友をころす気か!