轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しゅんかん
俊寛
倉田 百三
「新小説」1919(大正8)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,192 字 · 88 页
康頼 わしはまだ童子であったとき、兄の花嫁の輿を迎えに行ったことがあった。国境でわしたちは長く待った。輿は数百の燈火に守られて列をつくってやって来た。あれでもない、これでもない。けれどほんとうに花嫁の輿が来たときに、わしらは皆申し合わせたようにそれを直覚した。わしの今の心持ちはそれに似ている。
俊寛 (傍白)ほんとうにわしはどうしたのだ。棺を迎えるような気がするのは!
成経 もう半時すればはっきり見込みがつく。この島にまっすぐに来るとしても、到着するまでには二、三時はかかるだろうけれど。
康頼 恐ろしい半時だ。わしはじっとして船を見ているのに堪えられない。わしは熊野権現の前にひざまずいて一心不乱に祈ろう。祈りの力で船をこの島に引き寄せよう。神々よ。あの船をこの島に送りたまえ。神風を起こしてあの帆をふくらせ、水夫の腕の力を二倍にし、鳥のごとくにすみやかにこの岸に着かしめたまえ。(鳥居のほうに走り出そうとする)
俊寛 (康頼の袖を握る)待ってください。ごしょうだからわしのそばを離れずにいてください。わしはさびしくてたまらない。さびしいさびしい考えがさっきからわしの心に起こってきた。