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しゅんかん

俊寛

倉田 百三

「新小説」1919(大正8)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,192 字 · 88 页

青空文庫

康頼 西光殿が横合いから口を入れて言った。あまりに瓶子(平氏)が多いので酔ってしまった。この目ざわりな瓶子(平氏)をどうしたものだろう、と。

俊寛 (黙然として目を閉じている)

成経 俊寛殿。あなたは覚えているでしょう。その時あなたがひじょうに機知のある、不思議なほどに甘いつづめをつけたのが、この一場の猿楽に驚くほどいきいきした効果を与えたのを。(俊寛苦しそうに首をたれる)あなたは瓶子の首を取って立ちあがりざま、心地よげに一座を見回して叫びましたね。平氏の首を取るがいいと。

俊寛 (顔をおおう)わしは恥じる。わしは失敗者だ。すべて愚かな愚かなことだった。あなたがたは今いちばん悪いことを思いだしてくれた。わしはこうして立っていられないほど恥ずかしい。あなたがたはわしをこの思い出で元気づけようとしたのか。この皮肉な思い出で……あゝ呪われたるわしよ。(痙攣する両手で頭をかかえて砂上に伏す)

康頼 (気の毒に堪えざるごとく)わしが愚かなことをしたのならわしは悔いる。許してください。わしは今あなたを慰めることならどんなことでもしたい。俊寛殿、今、われわれの時が来つつあるのだ。