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しゅんかん
俊寛
倉田 百三
「新小説」1919(大正8)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,192 字 · 88 页
この島で飢えて死ぬるぞ。
も一度激しき山の鳴動。
俊寛 (思わず叫ぶ)助けてくれ! (地に伏す。間。必死の力を出して立ち上がりよろめきつつ)わしはこの島の鬼となるぞ!
波の音、松風の音、その間を時々山の鳴動。
第三幕
第一場
舞台、第一幕に同じ。岩多き荒涼たる浜辺、第二幕より七年後の晩秋。
俊寛 (やせ衰え、髪をぼうぼうとのばし、ぼろぼろに破れ、風雨のために縞目もわからずなりたる着物をきている。岩かどに立ちて、嘆息しつつ海を眺める)あゝだめだ。まただまされた。何百度だまされればいいのだ。康頼めがなまじいに迎えによこすと言ったばかりに! 苦しまぎれにいいかげんなことをいったのだ。その場限りの慰めだ。それが何のあてになるものか。それをお前は知ってるくせに。愚か者! 未練なわしよ。あゝわしはもう自分に頼る気もなくなった。どうしてわしは死んでしまわないのだ。この岩かどに頭を打ちつければ、この悪夢のようなわしの生涯は閉じるのではないか。あゝ想像もつかない恐ろしい七年が経った。わしはどうして生きてくることができたのだろう。四季の移り変わりと月の盈虧がなかったら、どうして月日さえ数えることができたろう。