轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

やすきちのてちょうから

保吉の手帳から

芥川 竜之介

「改造」1923(大正12)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,771 字 · 18 页

青空文庫

あれは球の飛ぶのではない。目に見えぬ三鞭酒を抜いているのである。そのまた三鞭酒をワイシャツの神々が旨そうに飲んでいるのである。保吉は神々を讃美しながら、今度は校舎の裏庭へまわった。

裏庭には薔薇が沢山ある。もっとも花はまだ一輪もない。彼はそこを歩きながら、径へさし出た薔薇の枝に毛虫を一匹発見した。と思うとまた一匹、隣の葉の上にも這っているのがあった。毛虫は互に頷き頷き、彼のことか何か話しているらしい。保吉はそっと立ち聞きすることにした。

第一の毛虫 この教官はいつ蝶になるのだろう? 我々の曾々々祖父の代から、地面の上ばかり這いまわっている。

第二の毛虫 人間は蝶にならないのかも知れない。

第一の毛虫 いや、なることはなるらしい。あすこにも現在飛んでいるから。

第二の毛虫 なるほど、飛んでいるのがある。しかし何と云う醜さだろう! 美意識さえ人間にはないと見える。

保吉は額に手をかざしながら、頭の上へ来た飛行機を仰いだ。

そこに同僚に化けた悪魔が一人、何か愉快そうに歩いて来た。昔は錬金術を教えた悪魔も今は生徒に応用化学を教えている。それがにやにや笑いながら、こう保吉に話しかけた。