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はいくはかくかいしかくあじわう
俳句はかく解しかく味う
高浜 虚子
「俳句は斯く解し斯く味ふ」新潮社、1918(大正7)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 73,016 字 · 144 页
重箱の中に沢山の銭のあることか僅に四、五文ほかないことは、一茶自身物さびしく苦痛なのであろう。折節日暮方で、時雨の降っていることが、いよいよその心持を強めるのである。
餅搗が隣へ来たといふ子かな 一茶
子供が「お隣りへ餅搗が来た」というのは、それを羨ましがっていうのである。それを聞く親は黙って聞き流すほかはないのである。この句の裏面には「貧」という一字が隠れておる。柏原の水飲百姓で、しかも俳句三昧に日を費している一茶の家は、貧乏も一通りではなかったのであろう。餅を搗こうにも搗くことが出来ない境遇であって、子供にそういう事を言われると、親はますます苦痛を感ずるばかりである。
我門に来さうにしたり配り餅 一茶
自分の家へ来そうにした配り餅が、自分の家へは来ず隣家へ行ってしまった、というのである。こんな事はよくあることであるが、世の中に虐遇されて、失望に慣れている一茶には、その些細なことも深く頭にしみ込んだのであろう。いやしい目つきをしてその配り餅を見ておったのではなく、「おやおや不思議にもあの配り餅は家へ持って来そうにしておる」と注意深い目を以て見ておると、やはり隣の間違であって、それに気がついて隣へ行ってしまった、という所に不遇の人の「冷笑」