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はいくはかくかいしかくあじわう

俳句はかく解しかく味う

高浜 虚子

「俳句は斯く解し斯く味ふ」新潮社、1918(大正7)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 73,016 字 · 144 页

青空文庫

何にせよまだ著物として手を通しもしないのに五月雨のためよごしたというのである。五月雨のために天も地も家の中も湿っぽくなってしまったような心持で、新らしいと言ってもまだ著物にも仕上らない縫物にまで泥をつけた、といって嘆息するのである。以上は皆元禄の五月雨の句である。

五月雨や夜半に貝吹くまさり水    太祇

それが天明になると先ずこの句のようなのがある。五月雨のため水嵩が増したと言って、沿岸の民家を警戒するために夜中に法螺貝を吹き立てるというのである。これは随分大正の今日でも見る光景であって、たとい法螺の貝を吹かぬにしても、半鐘でも乱打して人の眠りを驚かすのである。

つれ/″\と据風呂焚くや五月雨    太祇

この句は前と反対の暢気な句で、毎日々々雨が降って退屈しておるのに、今日もまた降り続いて退屈で仕方がない、そこで仕方なしに据風呂でも焚いて這入ろうというのである。碁をうつにも相手がなく書物を読むにも鬱陶しい、その上著物も畳も凡て湿っているようで気持も悪いから据風呂でも焚いて湯に這入ろうとするのである。

塩魚も庭の雫や五月雨    太祇

塩魚を梁か何かに吊って置いたところが、連日の雨で空気が湿っているのでその塩魚の塩が溶けて土間の上にポタポタと雫が落ちるというのである。