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はいくはかくかいしかくあじわう

俳句はかく解しかく味う

高浜 虚子

「俳句は斯く解し斯く味ふ」新潮社、1918(大正7)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 73,016 字 · 144 页

青空文庫

かくいへばとて単に閑寂を好み、山野に跡を晦さんとにはあらず、やゝ病身人に倦みて世を厭ひし人に似たり。

とこう言っている。自然に任して少しも気取りつくろったところのないところが、この数句によく現われておる。とかく俳人などという形式のみ殊勝ぶり、心にもない隠遁生活を装うたりするものが多いが、それは芭蕉のこの一句に愧死すべきである。芭蕉は山中の一孤屋に狐や兎に等しい簡易生活をしていたのであるが、それでも「かくいへばとて単に閑寂を好み山野に跡を晦まさんとにはあらず」と言っておる。そうして病身であるために世を厭うている人に過ぎないと言っておる。遁世家ぶって得意でいる似而非風流は少しもないのである。それから筆をすすめて自分の俳諧に携わる志というようなものを陳べておる。それも少しも気取ったところはない。

つら/\年月の移りこし拙き身の科を思ふに、ある時は仕官懸命の地を羨み、一度は仏籬祖室の扉に入らむとせしも、たより無き風雲に身を責め、花鳥に情を労して暫く生涯のはかり事とさへなれば、終に無能無才にして此一筋につながる。

とこう言っておる芭蕉だ。ところで初めから俳諧師になるつもりでもなかったのである。