轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

きずあとのはいけい

傷痕の背景

豊島 与志雄

「中央公論」1929(昭和4)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 19,022 字 · 38 页

青空文庫

停留場を二つ過ぎて、真砂町になると、少女はすぐに、切符を渡して、金と金入とを片手に握ったまま、車掌の機械的な掌に送られて、バスから降りた。

杉本も慌てて立上って、降りた。

電車通りを少し、それから左へ横丁……。手を振り振り、飛びはねるように歩いてゆく、少女の後から、のっそりした杉本の姿が、ついていった……。

三

軽く、形式だけのノックをして、扉を開いてはいって行くと、待ち受けてたらしい英子の顔と、ばったり出逢った。尋ねるまでもなく、見合せた眼色で、互に、何か変ったことがあったこと、話があることが、分った。

「今ね……。」

だが、杉本は気を変えて、帽子を釘に投げかけると、横倒しに坐って、云った。

「腹が空いた。飯にしよう。」

「ええ、じきよ。……なあに?」

いつも、自分のことを先に、快活に、話してのけて、けろりとする彼女だったが、それが、妙に慎重に、尋ねかけてきた。

「何よ?」

杉本は苦笑した。そして変に憂欝な調子で、バスの少女のことを話した。

無雑作に束ねた若々しい髪、細く長い眉、下眼瞼の円く開いた眼、理知的に尖った※(「臣+頁」、第4水準2-92-25)、口角の頸にある贅肉のふくらみ……そのふくらみを中心に、彼女は可愛い笑いを浮べた。