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はたらくふじんのあたらしいとし

働く婦人の新しい年

宮本 百合子

「婦人画報」1940(昭和15)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,775 字 · 17 页

青空文庫

ついてゆくことは、よろこばしいことだといえる。広汎に若い娘さんの職業への進出が常識となってゆけば、自然これまで職業婦人のめぐり会って来た一つの悲劇、男のひとたちは結婚の対手として職業についている娘さんをのぞまないということも変ってこざるを得ない。逆にその娘さんはどうしてずっと家ばかりにいたのだろうか、という質問が生じるようになるかも知れない。そして、男が兵役につくのを当然とされているように女の職業経験がそれに対応するものとして見られるようになるかもしれない。社会的成員の条件の一つのように見られるのかもしれない。そして、それはそれでいいのだと思う。

けれども、常識というものが社会の歴史の推移のままにそういう風に動いて変って行く時、その常識の内からよりましな人間としての生活を女も男も希望してさらに次の歴史に働きかけてゆく為には、いつの時代でも、常識の変化に身をゆだねる受け身な生きかたばかりでは不十分である。

常識は合理的な半面と、当面の便宜のために不合理をいいくるめているような一面とを常に持っている。若い世代の誇りと責任とは、常にその新鮮な心と体とで、常識の錆びをふるいおとしてゆくところにあるのではないだろうか。