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きょうやくかいてんだん

共軛回転弾

海野 十三

――金博士シリーズ・11――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,359 字 · 21 页

青空文庫

もちろんこれは断じて闇取引じゃない、正当なる利得ですし、それにねえ鉛華さん……」

と、ベラントは此所を先途と商才のありったけをぶちまけて、遂に鉛華を完全に手に入れてしまったのである。

そうなると、一刻も早く本当の商売に突入しなければならない。ルスは各種の燻製料理をぎっしり詰めこんだ食品容器をさげベラントに目配せをする。そこで三人は打連れだって金博士の住む地下室へと下りていった。

金博士は、睡眠から覚めて、部屋の中をよぼよぼと歩きまわっていた。

骸骨のように大きい頭、黒い眼鏡、特徴のある口髭頬鬚頤髯、黒い中国服に包んだ痩せた体――一体この体のどこからあのようなすばらしい着想とおそるべき精力とが出て来るのであろう。

「ふふふん、ふふふん、ふふふん」

金博士は、妙な咳払いをつづけさまにして、部屋の中を動きまわっている。失意か、得意か、さっぱり分らない。チーア卿が開け放しにしていった大金庫の前を幾度か行き過ぎるが、その方には見向きもしない。

そこへ鉛華が入って来た。

「先生、町に素敵な燻製料理を売っていましたので、買って参りました」

「燻製か。燻製はもうたくさんじゃ」