轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

きかくとさんぞくととのさま

其角と山賊と殿様

山本 周五郎

「キング」大日本雄弁会講談社、1934(昭和9)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,948 字 · 10 页

青空文庫

見ると意外! 墨痕美しく書かれた句は、(霜を見る蛙は百舌の沓手かな)。

「あ! これは※(感嘆符疑問符、1-8-78)」

と見上げると、相手は微笑しながら、

「名乗り申そうか、拙者は井上相模守」

「や」

振返ると芭蕉も顔をほころばせている。相模守はにこにこしながら、

「大名の為には俳諧をせぬという尊公に是非一句咏んでもらいたかった悪戯じゃ、許せ」

「ではあの山賊の頭領が――?」

呆れる其角。

「いや!」

侯は頭を振って、

「拙者は手下の賊で、尊公に酒を呑ませた方だ、ここにいる三人は、尊公を生贄にしようと手籠にした賊じゃ」

「はははは、ま許せ!」

三人も高く笑った。其角は膝をすすめて、

「ではあの、上段にいた方は?」

「他言無用だぞ」

相模守は声をひそめた。

「当上様だ」

「え? 将軍家」

其角は愕然と眼を瞠った。

将軍家綱が、戯れに催した『百鬼夜行』の酒宴は有名である。其角の導かれたのはその内の『山賊』の催しであったらしい。市中から有ゆる芸人を誘拐し、それぞれ懸命の芸をさせて楽んだものである。井上相模はそれを良い機会に、若い其角を一ぱいはめたのであった。