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しゃせいにでかけたしょうねん
写生に出かけた少年
小川 未明
「小学四年生」1939(昭和14)年8月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 1,639 字 · 4 页
野原の中に、大きなかしの木がありました。その下で、二人の少年は、あたりの風景を写生していました。
あちらには町があって、屋根が強い日の光にかがやいています。こちらには、青々とした田圃があって、野菜の花が、白に黄色に、咲いているのが見られました。
「僕は、あの並木を描こう。」と、西田が、いいました。
だまって、南は、じっとひとところを見つめては、チョークをうごかしていました。
「君は、なにを写生しているの?」
西田は、友だちのスケッチ帳をのぞくと、煙突から、煙が上がっている、町の遠景を描いていました。
「いいね、あの風に光っている木立も、雲も……」と、顔を上げた南が、答えました。
このとき、前方から、一人の男が、なにかぴかぴかするものを、手のひらにのせて、それを見ながら、やってきました。
「光るな、なんだろうか。」と、南がいいました。
「あの男は、ばかなんだよ。」と、西田がいいました。
「ええ、ばか?」
「ああ、あの男は、ばかなんだよ。けれど、おとなしい、なんにもわるいことをしないのだ。活動のエキストラになんか出て、喜んでいるという話だよ。」と、西田は、人から聞いたことを話しました。