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とううん

凍雲

矢田 津世子

「婦人文芸」1934(昭和9)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,121 字 · 29 页

青空文庫

それにしても、こうして別々にいると一日一日がとても苦痛でやりきれない。互の思いが変らないとしても、これでは、変っていると同じではないか。柳屋先生に頼んでも、どうも廻りくどくて待ち切れない。どうだ、いっそのこと、これから自分の家へ行かないか。二人で親に頼みこんでみよう。何んぼなんでも子であり、孫をみようというのに、二人さえしっかり離れないでいれば、そう因業なことも言うまい。――仙太はだんだん熱してきた。――親同志のことは先生にまかせることにしよう。それでもとやかく言うなら二人で逃げてもいいじゃないか。東京へでも行ってしまおう。

お高は昂奮してくる仙太の息づかいを、じっと窺っていた。

「でも、この体ではねえ」

お高は溜息をついた。

「それよか、いっそ柳屋先生のとこへ行って、親どうしに来てもらって、話を決めてしまったら」

「そうだ」

と、仙太は弾み立った。お高は抑えて、

「きょうはお父さんが役場の用で県下へ行って、終列車で帰ることになっているもの、明日にしたら……」

「いや、今日にしよう。これから行くことにしよう。二人の生き死にの問題じゃないか。直ぐ行こう」

仙太は立ち上った。