轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
はつなつのそらでわらうおんな
初夏の空で笑う女
小川 未明
「童話」1925(大正14)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,940 字 · 10 页
」といったものもありました。
その後、この話は、この海岸の不思議な話となりました。
暗い晩に、北国の海を航海する船が、たまたまこのあたりを通りますと、どこからともなく、若い女の歌う声が、聞こえてくることがあるといいました。また、ある漁船は、夜、雨の降る中をさびしくこいでいると、あちらから一そうの小舟がやってきて、音もなくすれちがう。その舟の中には、赤い着物をきた女がただ一人すわって、泣いているのを見たというものもありました。
毎年、初夏のころのことであります。この海岸に、蜃気楼が浮かびます。赤い着物をきた女が踊り、青い着物をきた女や、黒いからすの影などが、空に見えるかと思うと、しばらくして、消えてしまい、晴れわたった、輝かしい太陽の下で、顔も形も見えないで、女の笑う声がきこえる……。こんな神秘的な現象をこの海岸の人々は、いままで幾たびも見たり、聞いたりしたということであります。
――一九二五・三――