轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
はつたびのだいぼさつれんれい
初旅の大菩薩連嶺
木暮 理太郎
「霧の旅」1933(昭和8)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,508 字 · 19 页
いつかリュックサックを背負って初めてこの路を通った時は、薬屋と間違えられて、薬を売らぬうちは通さぬといわれて困ったことがあった。今日は小永田の出はずれで後からオーイオーイと呼び留められ、何事かと待っていると、お婆さんに「済まないが郵便屋さん、これを出して下さい」と手紙を頼まれた。前のようにリュックサックを開けて見せる世話もないので、笑って引受けてやる。お婆さんもすぐ誤りを覚って頻に気の毒がった。この次には何と見立てられることかとおかしくなる。
佐野峠の頂上に着いたのは昼頃であった。撮影したり、昼食をつかったり、二時間余りを費した後、峠を下って路を急いだが、猿橋に着いたのは午後六時を過ぎていた。唯写真が折角苦心して撮したにも拘わらず、飛竜や雲取はいう迄もなく、間近な大菩薩連嶺さえ、靄に包まれた春の山のように力のないものばかりであったのは、最も残念であった。
(昭和八、五『霧の旅』)