轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

わかれのじ

別れの辞

豊島 与志雄

「中央公論」1935(昭和10)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,330 字 · 37 页

青空文庫

彼女をよく見ていると、どんなことでもやりかねない危険さが感じられた。

「あたし今日はお客よ。」

そして彼女は杯を斜に取上げたが、すぐに、他の芸者たちと、そして殊に清子と、内緒話を初めた。

島村が間もなくやってきた。彼は私達の方を見やって、一寸眉をひそめたが、黙っておけいの方へ行った。だいぶ長く話していた。

私達の方へ来て、一通り会釈をする時、彼はなぜか顔をほんのり赤らめた。静葉が立上っていって、彼と何か囁き合った。彼は静葉のあとの席に坐った。二室ぶっ通しに使っていたが、狭い室なので、窮屈だった。島村に黙りがちで、煙草ばかり吹かしていた。彼の眼は先達より穏かで、なまなましい額には、淡く血色が出ていたが、何となく病的な疲労の感じがにじんでいた。

そこへ、おけいが出てきて、一座をまぜっ返してしまった。一座は土間の腰掛の方へまで拡がった。私は何か不安な気持が消えないで、我知らずいろんなことに注意をしていたが、それでも酔っていって、もう記憶は断片的なものに過ぎない。

清子が静葉にたのんで、煙草を買いにやらしてもらった。どこかで、宮崎に電話でもしたものらしい。