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こくこく
刻々
宮本 百合子
「中央公論」1951(昭和26)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,401 字 · 73 页
今朝みんな家でやられたのよ。さっき電話で、二十何人とか云ってたわ……皆をやったんだワ。会社じゃストライキのとき犠牲者は出さないって要求を入れときながら、この間っからドンドン新しい人を入れてたんですもの。ぐるなのね。これでクビにするなんて、卑怯だわ!」
会社は、ストライキをやった従業員を職場からだと目だつし、それをきっかけに又他の従業員が結束するとこわいので、各住居地の所轄署を動員して今朝一斉に切りはなして引っぱらせたというのが実際の情勢らしかった。
留置場の弁当では泣き出しながらも会社のやり口は見とおし、
「――一ヵ月ぐらいたってみんなの気がゆるんだ時があぶないって、そ云っていたけれど……全くだわね」
とつくづく考える風であった。やがて坐りなおすように銘仙の膝を動かして娘さんは呟いた。
「でも、私何ていわれたってかまやしない。本当に何も知らないんだから……」
そして私に向い念を押すようにきいた。
「――組合に入ってなければ大丈夫なんでしょ?」
「組合に入ってたって悪かないじゃないの」
しかし、自分は娘さんの調子が心もとなくなって云った。
「……組合に入っていないにしろ、ストライキのときはあなたの要求だってみんなと同じだったからこそ闘ったんだから、今更誰が組合に入ってたなんて余計なことは云いっこなしだわね。