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こくこく
刻々
宮本 百合子
「中央公論」1951(昭和26)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,401 字 · 73 页
細君がやっぱり何とか稼がなければならない。そうなったとき時間が永すぎるとか、賃銀がやすすぎるとか云った時、あなた方は決して何だ女らしくない! と細君をどやしはしないのだ」
「……ふむ。……だが、これはどういうことになるかね」
指で示すのを見ると、やはり同じ投書欄で、愛子という人の投書に、何事も〔三字伏字〕のお為だ云々というところの三字がある。
「…………」
「いいですか? 一ヵ所じゃないですよ。こっちにもある。……こオっと……これ、これはどう云うんです」
敏子という名で、戦争反対をハッキリのべている文章なのだが、ここでは〔三字伏字〕は御自分の赤子が殺されるのを云々という文句がある。自分は、どっちも読み直し、文章そのものに何の咎めるべきところはないと云った。
「――しかしですね」
清水はぐっとのり出した。
「その文章そのものはそうかもしれないが、前後との関係で、いけないんだ。……大体、戦争の記事を扱うのがいけない」
「それは妙だ」自分は云った。「キングを御覧なさい。婦人倶楽部を御覧なさい。子役までつかって戦争の記事だらけです」
「冗、冗談云っちゃいけませんよ」
不自然にカラカラと清水は笑った。