轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ぜんきてんまやけ
前記天満焼
国枝 史郎
「文芸倶楽部」1927(昭和2)年6月~10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 48,568 字 · 98 页
上着の模様は唐草で、襟と袖とに銀の糸で、細く刺繍を施してある。紫色の袴の裾を洩れ、天鵞絨に銀糸で鳥獣を繍った、小さな沓も見えている。
「奇麗な御婦人、別嬪さん!」
云いながら睨むように扇女を見た。それから大学へ眼をやった。
「そうかそうか、恋仲か! 恋をしようとしているのか! だがねえ」とまたもや扇女を見た。
「用心が大事でございますよ。迂闊に恋などなさいますな。凄いお方でございます。この大学という方は! もし迂闊にこの人と恋仲などになりましたら、妾のようにされましょう。廃人にね! 廃人にね! ……」
ヒョロヒョロ、ヒョロヒョロと歩き出した。針金細工の人形かしら? あまりにも痩せているではないか! そうしてヒョロヒョロと歩く毎に、どうしてあんなにも顫えるのだろう?
燈籠の火に照らされて、阿片の吹管が反射する。それを握っている手の指が、あたかも鈎のように曲がっている。
と、だるそうに振り返り、ノロノロと片手を上げ、それで大学を指さしたが、
「ね、妾の恋男さ! そうさ妾の大学さんさ! 取っちゃア不可ないよ、この人をね!」
それから自分を指さした。
「教えてあげよう、妾の名をね! 『阿片食い』