轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
すけごろうよざい
助五郎余罪
牧 逸馬
「探偵趣味」1926(大正15)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,407 字 · 15 页
とおろくが言いかけるのを、
「者でがす」と引き取って、
「お眼にかかってお見舞えしやしょう」
ずいと上り込むとがらり境いの唐紙を開けて、
「ま、師匠、その儘で、そのままで」
笛の名人豊住又七は麻の夜具から頭だけ出して、面映ゆそうにちょっと会釈した。あの晩から熱が出たと言って、枕もとにはオポピリンの入った湯呑茶碗なぞが置いてあった。肝腎の咽喉を痛めているので、笛の稽古は休んでいるとのことだったが、それでも秘蔵の名笛が古代錦の袋に包まれて手近く飾られてあるのが、いかにもその道の巧者らしく、助五郎にさえ何となく床しく感じられた。
事件の性質が稚気を帯びているのと、何しろ「乗物町さん」の名前に関することなので、はじめのうちは又七も苦り切っているばかりで容易に口を開こうとはしなかったが、次第に由っては握り潰さないものでもないという助五郎の言葉に釣られて、やがてその夜のことを逐一話し出した。
が、すでに若造の口から引き出して来たこと以外、そこには何らの新しい事実もなかった。下谷七軒町の親戚の法事へ行った帰り、この先きの四つ角へ差しかかると、自働電話の傍に立っていた男が突然躍り掛って来て、はっと思う間に自分の身体は、板を跳ね返して溝へ落ち込んでいた。