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せいりょくのちゅうしんをぎかいにうつすべし

勢力の中心を議会に移すべし

大隈 重信

「新日本 第三巻第二号」1913(大正2)年2月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,243 字 · 17 页

青空文庫

輿論の勢力は国民の協力に因る。が、この協力はこれを指導するものが無ければ駄目である。あたかも音楽に指導者を要すると同じい。音楽に楽長のない時は、その曲は支離滅裂で到底聴くに堪えぬ。即ち指導者の無いがためである。国家もまたこの理の外に出ずるものでない。これは極めて漠然たる批評の様であるけれども、何としても国家に指導者がなくてはいけぬ。人間の政治的に集合したものが国家である。この国家に指導者があって十分に堅く協力して行くと栄ゆるが、そうでなければ衰うる。国家の成るは何が故かというと、協力だ。この協力が無くては中心的勢力が乱るる。否、消滅する。これほど国家にとって怖るべき事はない。

けれども、物は極まれば変ずる。愈々行き詰まると、通ずるところが出来る。いわゆる変通である。されば、今日に於て国民が十分に自覚し、健全なる国家の勢力を喚起して、その憲政の運用を完全にするというが急務である。然るに、この国運の危機に臨んで、かくの如き運動の起らぬは如何にも不思議である。なにも我輩は今日太平を喜んでいる人に好んで危激な事を教うるんではないけれども、もはや国民の愛国心からして沈黙し得ざる時となっているから言うんである。