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せいりょくのちゅうしんをぎかいにうつすべし

勢力の中心を議会に移すべし

大隈 重信

「新日本 第三巻第二号」1913(大正2)年2月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,243 字 · 17 页

青空文庫

この時に起った中心は、即ち世間で普通にいう薩長である様だけれども、その実、封建はすでに大政維新と共に廃滅したのであるから、独り薩長というが如き一、二雄藩の勢力の残存すべきでない。勢力の中心はさる薩長というが如き空のものに存するのでなくて、実際は薩長の武力そのものに帰したのである。維新の際に於ける内乱を平定したその武力に、勢力が集ったんである。が、それほどの大乱があったでもない。伏見、鳥羽の戦争、それから奥羽の戦争くらいで、世は平和となったんである。それから如何かというに、多少内乱を惹起したが、ついに西南戦争に於て終りを告げた。武力によって中心となるという如き事が長く続けば、その国家は健康のものでなくて、必ず再び乱るる事となる。幸いに、それも西南戦争に於て終りを告げて、勢力の中心は政治家に移った。

それまでも武力に帰したというものの、実は武力というべきではない。軍人というよりも、軍人の政治家の手に落ちたまでである。その頃には薩摩がまだ中心であった。しかし、西郷〔隆盛〕を倒す時には薩人の武力も幾分か手伝ったであろうけれども、これよりも武人の勢力は衰え、中心は文治派に移ったんである。