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せいりょくのちゅうしんをぎかいにうつすべし

勢力の中心を議会に移すべし

大隈 重信

「新日本 第三巻第二号」1913(大正2)年2月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,243 字 · 17 页

青空文庫

人を以ていえば、西郷は武人に属すべきで、政治家とはいえぬ。政治的才能が如何であるというのではない。政治の方面にその才能を顕わす機会がなかったんである。前後三年近く政治に関係したけれども、あまり政治にはその力が現れずにしまった。これに対して木戸〔孝允〕、大久保〔利通〕は武人ではなく、純粋の政治家である。そして表面から言えば、二人は薩長の代表者であるらしいけれども、単に薩長の代表者たるよりも、その人物は一層大きくて、まさに国家の勢力を代表したものである。これが国家の幸いである。当時なお封建の余力が存在して、始終武断派の勢力あり、薩長あるいはその他の間に絶えず勢力の平均を求め、其処に多少の競争があった。人間の弱点で、何としてもその間に猜忌心、嫉妬心が起る。この競争に因りて互いの専横が制せられ、薩長の以外に更に小なる中心が集った。これが即ち維新後の勢力の中心で、それに因って明治の文明を現出し、ついに法典の編纂も地方の自治制も出来、ついに憲法も制定されて、今日の立憲国と為ったのである。初めは木戸、大久保が中心であったが、この二人の死後如何かというに、木戸、大久保に吸収された人物が代ってまた中心となった。