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せいりょくのちゅうしんをぎかいにうつすべし

勢力の中心を議会に移すべし

大隈 重信

「新日本 第三巻第二号」1913(大正2)年2月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,243 字 · 17 页

青空文庫

特に、大山の如きは政治の趣味すら持たれぬ様である。

かつて赫々たる勲功を立て、かつて権謀術数の勢力を振った事があるも、もはやその事は過去に属し、今日なんらの痕迹を留めなくなっても、なお恐るる。即ち「死せる孔明生ける仲達を走らす」のである。孔明は智謀神の如き人である。司馬仲達もまた同様な偉い人物ではあるが、孔明を恐るる事甚だしい。孔明は事実すでに死んでいるのであるが、司馬仲達は誤って孔明のなお生くると聞くや、倉皇軍を収めて遁げ去った。山県公は孔明ほどの人物ではないけれども、やはり世間ではその名に聞き怖じして恐るる事甚だしい。即ちこれ死せる孔明生ける仲達を走らすの類である。勢力の中心はもはや今日移動しつつある。然るに徒に閥族を怖れ騒ぐは、これ国民自身に大体力がないためである。

間違いおるか知らぬが、我輩は祖先崇拝についてこう考うる。日本の祖先崇拝の起りについては知らぬけれども、まず広く世界に於けるそれを言うと、祖先の豪傑は子孫の目にはどうしても偉く見ゆる。祖先に比すれば子孫の人物がさほどでないところから、どうしても祖先の人物が独り際立って大きく見ゆる。