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じゅうえんさつ

十円札

芥川 竜之介

穷得叮当响的作家堀川保吉,口袋里只剩六十钱,却还惦记丝帽、音乐会和女人。一张十円钞票的出现,能让他体面地撑过这一天吗?

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,647 字 · 18 页

青空文庫

それを突き返したのは失礼である。のみならず、――

保吉はこの「のみならず」の前につむじ風に面するたじろぎを感じた。のみならず窮状を訴えた後、恩恵を断るのは卑怯である。義理人情は蹂躙しても好い。卑怯者になるだけは避けなければならぬ。しかし金を借りることは、――少くとも金を借りたが最後、二十八日の月給日まで返されないことは確かである。彼は原稿料の前借などはいくらたまっても平気だった。けれども粟野さんに借りた金を二週間以上返さずにいるのは乞食になるよりも不愉快である。……

十分ばかり逡巡した後、彼は時計をポケットへ収め、ほとんど喧嘩を吹っかけるように昂然と粟野さんの机の側へ行った。粟野さんは今日も煙草の缶、灰皿、出席簿、万年糊などの整然と並んだ机の前に、パイプの煙を靡かせたまま、悠々とモリス・ルブランの探偵小説を読み耽っている。が、保吉の来たのを見ると、教科書の質問とでも思ったのか、探偵小説をとざした後、静かに彼の顔へ目を擡げた。

「粟野さん。さっきのお金を拝借させて下さい。どうもいろいろ考えて見ると、拝借した方が好いようですから。」

保吉は一息にこう言った。