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しょうせつかたらんとするせいねんにあたう
半自叙伝
菊池 寛
菊池寛『半自叙伝』。同一底本的分册已合并为一书。收入:小説家たらんとする青年に与う、私の日常道徳、志賀直哉氏の作品。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,766 字 · 19 页
を考えて見るといい。
これは、もう七十に近い老人が、老後の淋しさを紛らすために芸者を受け出して妾に置く。芸者は、若い者に受け出されるよりも老先の短い七十の老人に受け出される方が、自由になる期が早いといったような心持で、老人の妾になる。最初の三年の契約が切れても老人はその妾と離れられない。女も情夫があったが、この老人と約束通りに別れる事が残酷のように思われて、一年延ばす事を承諾する。一年が経つ。そのうちに女は情夫の子を産む。今度は女の方から一年の延期を言い出す。そして又一年経つ裡に女は情夫の第二の子を産む。そして今度は老人の方から延期を申出す。そしてその一年の終に老人は病死して妾に少からぬ遺産を残す。そして作品は次のような文句で終る。
「四月の後、嘗つて老人の坐つた座蒲団には公然と子供等の父なる若者が坐るやうになつた。其背後の半間の間には羽織袴でキチンと坐つた老人の四つ切りの写真が額に入つて立つて居る……」
この題材は、もし自然派系の作家が扱ったならば、どんなに皮肉に描き出しただろう。老人がどんなにいたましく嘲笑されただろう。が、志賀氏はかかる皮肉な題材を描きながら、老人に対しても妾に対しても充分な愛撫を与えている。