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なんぼくのとうかいどうよつやかいだん

南北の東海道四谷怪談

田中 貢太郎

在线阅读田中 貢太郎《南北の東海道四谷怪談(なんぼくのとうかいどうよつやかいだん)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,555 字 · 34 页

青空文庫

「いやがるわたしをおどしつけて、みだらなことをさしたのも、今夜喜兵衛の孫娘と内祝言をするために、おまえさまを追いださなくては、つごうがわるいからでござりますよ」

お岩はこれを聞くと狂人のようになった。

「もう此のうえは、死ぬより他はない」きっとなって、「息のあるうちに喜兵衛殿に礼を云う、鉄漿の道具をそろえておくれ、早う、早う」

宅悦はふるえていた。

「産後のおまえさまが、鉄漿をつけては」

「大事ない、早う、早う」

宅悦はお岩が狂人のようになっているので、何とかして止めようとしたが止められなかった。宅悦はしかたなく鉄漿の道具を持って来た。お岩は体をふるわしながら鉄漿を付け、それから髪を櫛きにかかったが、櫛を入れるたびに毛が脱けて、其の後から血がたらたらと流れた。

「やや、脱毛から滴る生血は」よろよろと起きあがって、「一念貫さでおくべきか」

宅悦は泣きだした嬰児を抱いていた。

「これ、お岩さま、もし、もし」

宅悦はお岩の傍へよって片手を其の肩へかけた。お岩の体はよろよろとなって倒れかかった。其処には鴨居に刺さっていた刀が落ちかかっていたので、お岩の咽喉は其の刀へ往った。