轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
なんぼくアルプスつうせつ
南北アルプス通説
木暮 理太郎
「日本アルプス」1930(昭和5)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,372 字 · 11 页
けれども薬師岳の南の太郎兵衛平、カベケ原、五郎平もしくは双六平のような高原状をなした平さえも、南アルプスには乏しいのである。ただ赤石山脈の南端イザルケ岳から光岳に至る間の山稜は、偃松は深く木立もあるが、幅も広く草地が続いているので、やや高原に似た趣を呈している。赤石岳の西の百間平、上河内岳の南の山稜または広河内岳附近の如きも、小高原らしい感じを与える。概して南アルプスは山稜の幅が広く、真の高原と称すべきものはないが、山稜即ちこれ小高原ともいうべき場所は到るところに展開している。好晴の日に四方の眺望に耽りながら暢気な山上の旅を続ける際には、頗る快適を覚えるが、不意に霧にでも捲かれると方向を失う虞も大きいのである。
火山に乏しい南アルプスは山の湯にもまた恵まれていない。小渋、梅ヶ島、西山など二、三の温泉と称するものはあるが、温泉らしい温泉といえば西山のみである。北アルプスの登山者が思いも寄らぬ谷川のほとりなどに滾々と湧き出している温泉を発見して、そこに石で囲んだ浴槽を造り、感触のいいぬくもりに皮膚を撫でられながら、終日の汗を洗い流すような快さは、南アルプスでは決して味えない。