轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

なんちしんじゅう

南地心中

泉 鏡花

在线阅读泉 鏡花《南地心中(なんちしんじゅう)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 39,205 字 · 79 页

青空文庫

二十九

一人多い、その姫の影は朧でも、血のしたたりは現に見て、誰が目にも正しく留った。

灯の影に地を探って、穏ならず、うそうそ捜ものをして歩行くのは、その血のあとを辿るのであろう。

消防夫にも、駕籠屋にも、あえて怪我をしたらしいのはない。婦たちにも様子は見えぬ。もっとも、南地第一の大事な市の列に立てば、些細な疵なら、弱い舞妓も我慢して秘して退けよう。

が、市に取っては、上もなき可忌しさで。

世話人は皆激しく顰んだ。

知らずや人々。お珊は既に、襟に秘し持った縫針で、裏を透して、左の手首の動脈を刺し貫いていたのである。

ただ、初から不思議な血のあとを拾って、列を縫って検べて行くと、静々と揃って練る時から、お珊の袴の影で留ったのを人を知った。

ここに休んでから、それとなく、五人目の姫の顔を差覗くものもあった。けれども端然としていた。黛の他に玲瓏として顔に一点の雲もなかった。が、右手に捧げた橘に見入るのであろう、寂しく目を閉じていたと云う。

時に、途中ではさもなかった。ここに休む内に、怪しき気のこと、点滴る血の事、就中、姫の数の幻に一人多い事が、いつとなく、伝えられて、烈しく女どもの気を打った。