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なんぽうものがたり
南方物語
小川 未明
「赤い鳥」1928(昭和3)年9月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 5,065 字 · 11 页
彼らは、ほんとうに、思いもよらぬ金になったとよろこびました。それで、ボタンを売って、自分たちの故郷をさして旅立ったのであります。それからまた幾日かのあいだ苦しみました。そして、ついに彼らは、なつかしい故郷に帰って、兄弟や、親たちの顔を見ることができたのでした。
「あのボタンは、なんだったろう。」
三人は、いまから考えると、あれが、普通の貝ではなかったような気がしました。そして、あの島のことを思うと、まったく、夢のような、ふしぎな気がします。美しい娘たちも、しんせつな島の人たちも、木立も、あの赤い燈台の火も……。
「もう一度、あの島へいってみたいな。」
三人は、顔を見ると、そのときのことを語りあって、遠い南の海を空想しました。そして、春になって、つばめが飛んできたとき、
「あの島からきたのだ。つばめの島からきたのだ。」といって、このりこうな鳥を歓迎しました。
町の人たちは、三人から、つばめの島の話を聞いて、そんな、いいところが、この世界のどこかにあるのかと思いました。
「つばめは、幸福を持ってきたのだ。」といって、どこの家でも、自分の家のなかに巣をつくってくれるようにと望んだのです。