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なんきょくのかいじ

南極の怪事

押川 春浪

「中学世界」1905(明治38)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,508 字 · 33 页

青空文庫

のだ。

二人の娘は楽しそうに、波打際を徘徊しながら、蟹を追い貝を拾うに余念もなかったが、しばらくして姉娘は急に叫んだ。

「あら! 妙なものが流れてきてよ」

妹娘もその声に驚き、二人肩と肩とを並べて見ていると、今しも打ち寄せる波にもまれて、足許にコロコロと転んできたのは、一個の真黒なビールの空瓶だ。

「おや、こんな物、仕方がないわ」と、姉娘は織指に摘まみあげて、ポンと海中に投げ込んだが、空瓶はふたたび打ち寄せる波にもまれて、すぐまた足許にコロコロと転んできた。

「本当に執拗い空瓶だこと」と、今度は妹娘が拾って投げようとすると、その時背後の方より、

「二人とも何をしている、拾ったのは何んだ」と呼んだ者がある、振り向いて見ると父のモンテス博士で、ニコニコしながら進みよる。二人とも嬉しそうに、左右からその首に縋がりつき、

「阿父様、この瓶、みょうな瓶なんですよ、ちょうど生きているように、幾度投げてもコロコロと――」

「ホー、海員の飲むビールの空瓶だな」と、博士は妹娘の手からその瓶を取って眺めたが、

「これは奇妙だ、この瓶の口栓はすでに腐っておる、そのうえ瓶の外に生している