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なんばんひわもりうこんまる

南蛮秘話森右近丸

国枝 史郎

「少女倶楽部」1927(昭和2)年4月~10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 55,869 字 · 112 页

青空文庫

「では某も」と四郎太も同じく仲間を見廻したが「拙者におつづきなさるよう」

二派に別れた数十人の庭師、スタスタと歩くと森へ入り、すぐに姿を隠したが、あたかもこの頃猪右衛門と玄女が右近丸と民弥に追いかけられ、衣笠山の坂道を、上へ上へと上っていた。

19

一際こんもりした森林が、行手にあたって聳えている。ちょうどその辺りまで来た時である。傍らの灌木の茂みを抜き、ガラガラと何物か投げ出された。

「あッ」と叫んだは猪右衛門、でもんどり打って転がったが、鎖で足を巻かれている。

同時に叫んだは玄女である。同じくドッタリ倒れたが、是も鎖で巻かれている。

「先ずは捕った」という声がして、灌木の陰から現われたのは、六七人の庭師であった。

「有無を云わすな、猿轡をかけろ、それから担いで引き上げろ!」一人の庭師が囁いたが、これ他ならぬ四郎太であった。

く玄女と猪右衛門を担いで庭師の去った後は、月光が木の葉を照すばかり、沈々として静かである。が、次の瞬間には、驚くべき事件が行なわれた。と云うのは玄女と猪右衛門を、追って来た民弥と右近丸が、ちょうどここまで辿りついた時、荒々しい男の叫び声が、こう聞こえてきたからである。