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なんばんひわもりうこんまる

南蛮秘話森右近丸

国枝 史郎

「少女倶楽部」1927(昭和2)年4月~10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 55,869 字 · 112 页

青空文庫

気丈の民弥も顫え上り、茫然として見守った。

が、それにしてもこの連中は、どういう身分の者だろう?

浮木の姥が走って来て、その連中とぶつかった時、大体身分の見当が付いた。

「おっ、汝らは茨組か!」こう云ったのは浮木である。

「珍らしいの、浮木の姥か」

こう云って進み出た壮漢は、この一党の頭と見え、荒々しい顎鬚を顎に貯え、手に鉄棒をひっさげている。年の頃は四十五六、腹巻で胴を鎧っている。星影左門という人物である。

「唐姫殿はご無事かの?」嘲笑うように訊き返した。

「うむ」と云ったが浮木の姥は、かなり周章た様子であった。「いつ其方達は上洛したぞ?」

「ご覧の通りさ、たった今さ」

「で、何のために上洛したな?」

「京師を掠めようその為さ」

「が、そいつはよくあるまい」浮木はその眼をひそめたが、

「あの信長めが京師を管理し、威令行なわれているからの」

「そんなことには驚かないよ」星影左門は笑ったが「何の検断所の役人どもに、指一本でもささせるものか」

「が、それにして何のために、五六十人ばかりの同勢で、いまごろ上洛して来たな?」

「唐姫殿が欲しいからよ」

「ふふん」と浮木は嘲笑った。