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らんとうばのてんにょ
卵塔場の天女
泉 鏡花
在线阅读泉 鏡花《卵塔場の天女(らんとうばのてんにょ)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 47,251 字 · 94 页
能役者が謡の弟子を取るのは、歌舞伎俳優が台辞の仮声を教えると同じだからね。舞台へ立っては、早い話が、出来ないまでも、神と現じ仏と顕れ、夜叉、鬼神ともなれば、名将、勇士、天人の舞も姿も見しょうとする。……遊女、白拍子はまだしも、畏多いが歌の住吉明神のお声だって写すんです。謡本と首引きで、朱筆で点を打ったって、真似方も出来るもんか。
第一、五紋の羽織で、お袴で、革鞄をぶら下げて出稽古に歩行くなんぞ、いい図じゃあないよ。いつかもね。」
八郎は呷と煽って、
「省線電車――まあ、その電車に乗ったと思っておくれ。真夏の事でね……五十面をてらてら磨いて、薄い毛を白髪染さ、油と香水で真中からきちんと分けて、――汗ばむから帽子を被りません――化粧でもしたらしい、白赤く脂ぎった大面の頤を突出して、仰向けに薄目を開けた、広い額がてらてらして、べっとりと、眉毛に墨を入れたのが、よく見える。紗の横縞の袴を突張らかして、折革鞄を傍に、きちんと咽喉もとをしめた浅葱の絽の襟を扇で煽ぐと、しゃりしゃりと鳴る薄羽織の五紋が立派さね。――この紋が御見識だ。何と見えます――俳優ともつかず、遊芸の師匠ともつかず、早い話が、山姥の男妾の神ぬしの化けたのだ。