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はんこう

反抗

豊島 与志雄

「国民新聞」1921(大正10)年8月4日~11月25日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 140,121 字 · 282 页

青空文庫

何かに縋りつかないではおれない気持だった。冷たい夜の空気が窓から流れ込んできて、その気持を益々痛切になしてくれるのが、今は却って快かった。

その窓を、お清がやって来てはいつも閉めた。

「寒いじゃありませんか。」

「そんなら煖爐でも据えてくれるがいいよ。」

「いくら煖爐を置いたって、あなたみたいに開け放しちゃ、何にもならないわよ。」

窓を閉められて、お清の顔をじっと見てると、周平は俄に寒さを感じ出した。足先と手先とに二つ火鉢を置いていても、ちっとも暖くなかった。

「それ御覧なさい、震えてるじゃないの。」

彼女も肩をすぼめて火鉢の上に屈み込んだ。真白な頸筋から甘酸っぱい匂いが洩れてきた。周平は眼を外らして、冷たくなった杯を口へ運んだ。

「熱いのを持って来ましょうか。」

「ああ。」と彼は機械的に返辞をした。

新らしい銚子を持って来る時、お清は扉を開くと同時に、一寸微笑んで睥むような眼付をした。それがともすると、保子の眼付によく似ていた。周平は気持が胸の底へ底へと沈み込んでいった。何も話の種が見つからなかった。お清も別に話題を探すらしくもなかった。

「何を黙って考え込んでるの。