轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

とりかえしものがたり

取返し物語

岡本 かの子

「大法輪」1934(昭和9)年11月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,882 字 · 28 页

青空文庫

おさき『わたしにも、そう思われます』

源右衛門『すれば、誰かしらの血を見ることじゃ』

おさき『おお、誰かしらの………』

源右衛門『なあ、おさき』

おさき『はい』

源右衛門『おまえと夫婦で暮したのも三十年あまり。不仕合せなおまえでもなかったと思うが』

おさき『よう判っておりまする。これも仏さまのお蔭、あなたのお蔭。あらためてお礼を申ます。わたしに異存はございません。どうぞ思い立った通りにして下さいませ』

源右衛門『すれば、このわしの首をわしの思いの儘に使ってもいいというのか』

おさき『御報恩の為め、また人々の為め』

源右衛門『承知して呉れて、先ずは安心。ところでもう一つの首じゃ』

おさき(顔を押えて)『おお、どうぞ、それを口に言うては下さりますな。それをこの耳に聴いたなら、わたしは息も絶え果ててしまいます。ただ黙って何事も、御宗旨の為め、人々の為めと、わたしに諦めさせて置いて下さりませ。然し二十を過ぎてまだ間も無い若者。そして源兵衛は、あの利発な美しいおくみ坊と兼ね兼ね深く思い合うた仲。二人をどうぞ一時なりとも晴れて夫婦にしてやってから、お役に立てて下さりませ』(泣く)