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きょうふのきせつ
叢書名著の復興1 恐怖の季節
三好 十郎
三好十郎『叢書名著の復興1 恐怖の季節』。同一底本的分册已合并为一书。收入:恐怖の季節、斬られの仙太。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 257,544 字 · 508 页
滝三 だども……平松の旦那にあんねなこと言うてもええのかあ、お父う?
仙太 ふん。ああに、あれでええさ。アハハハ。(段六の耳に口を持って行って)段六公、平松の旦那ちの地所は、どれぐらいあったかなあ?
段六 平松かあ? そうよ、きょうびでは、三十町はくだるめえて。この辺一帯、微碌旗本の田地で荒れ放題になっていた奴ば、二足三文で買いしめた上に、その後、金ば貸しちゃ、借金のかた流れで大分手に入れたかんなあ。御一新前から平松の旦那といやあ剛腹で鳴らした金貸しだあ。いまにロクな目にゃ会うめえて。だが、なんだぞう、仙太公、旦那衆にタテえ突いちゃ、此方が損だぞう!
仙太 (笑って)段六公の馬鹿野郎。
段六 あんだとう?
仙太 あべこべだ。黙っていれば損をすっからタテえ突くだ。地主と小作人が仲好くすっことあ未来永劫ありはしねえとよ!
段六 よく聞こえねえ。そいったもんだろかい。アハハハハ、さ、やろうか。
仙太 やろかな。(三人田へ入りかける)
段六 (仙太郎の肩を笑ってこづきながら)仙太公、いまあ、えら、いばったぞう! 久しぶりに、筑波以来の斬られの仙太だべえ。うふん、こら、お妙さに見せたかったてえ!